人々が心に秘めるささやかな願い。
その願いをかなえてくれる身近なツールが、「顔ハメパネル」だ。
私は顔ハメパネルがあれば一応ハメてみることにしている。
顔さえハメれば、戦国武将やアニメキャラ、動物にだってなれる。
こんな顔でも少しだけ自分を好きになれる不思議なツール、
それが顔ハメパネルだ。
そんな私がお勧めしたいのが
県庁1階に鎮座する「レルヒさん顔ハメパネル」(勝手に命名した)だ。
投稿末尾の画像をご覧いただきたい。
本来ならばキャラの顔部分に己の顔をはめさせ、
なりきり気分を味わわせるのが「顔ハメパネル」の使命のはず。
が、このパネルはレルヒさんの顔面を温存し帽子の部分に人間の顔をハメさせるのだ。
結果レルヒさんの額付近に私の顔面がめり込む格好になる。(画像のように)
かつてない顔ハメスタイル。
これは「顔ハメパネル」などではない
「レルヒさんメリ込み」パネルなのだ。
私たちは
「レルヒさんになる気分」を味わうのではない。
「レルヒさんの一部となる気分」を味うこととなる。
レルヒさんはレルヒさんであり続け、私は私でなくなり尽くす。
存在(実存)があって意味(本質)が生じるのか
意味(本質)があって存在(実存)することができるのか、
そんな哲学的主題すらどうでもよい。
もはや私などレルヒさんの一部になるために生まれてきたにすぎないのか?
壊れそうな心を抱えながら己が生まれてきた意味をそっと問いかけて
闇の中を彷徨い歩く90年代のビジュアル系バンドさながらに自分を見失うひと時を味わう羽目になる。
ところがである。
打ちひしがれつつ鏡を見ると「自分が自分である」ことに気づくのだ。
そして得られる大きな安堵感。
ここまで自己肯定的になれたことがあっただろうか。
いい年をして変身願望などかなえている場合じゃないのだ。
そろそろ自分の顔を、そして人生を受け止めなければいけないのだ。
何者かであろうとするからこそ自分を失い続けたのだ。
実存も本質もすでに自分は手にしていたのだ。
レルヒさん、ありがとう!!
大切なことを教わりました。
県に税金納めていてよかったです。
もう顔なんてハメないなんて言わないよ絶対!
まあつまり「顔ハメ楽しいよ」っていうことです。
というわけで
レルヒさんへの親しみと、自尊心と、納税の喜びとを同時に手に入れることができたので
一度は顔をはめてみることをお勧めします。